第1章

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「やっぱり可愛いな~♪」 青年はニヤニヤしている。 「なんでこんなに可愛いんだろうな~♪」 青年はニヤニヤ、いやむしろデレデレしている。 「食べてしまいた……っ!?」 人魚はやっぱり青年を叩いておいた。 「私のうみねこ返せ!」 人魚は青年の腕から丸いモフモフしたものをひったくる。 それはぷるぷると震える猫だった。勿論ただの猫ではない。所々にヒレのある魚と猫のハーフ。そして人魚のペットだ。 「ケチー」 青年は名残惜しくて手をわきわきしている。 人魚はバレンタインデーの御返しにペットのうみねこをもふらせてあげていたのだが、あまりのデレッぷりと、うみねこの怯えように中止を決断した。 「うるさい猫狂い!」 人魚は青年の手を尾びれで叩いておいた。 「誉められた!」 「なんで!?」 その後おさわり禁止を言い渡すも、仕事もそこそこにうみねこを眺めまわす青年。 人魚はバレンタインデーの失態のお詫びに秘蔵のうみねこを見せたのを激しく後悔した。 「もう友人にうみねこは見せないでおこう……」 怯えるうみねこを見て呟いた言葉は、波の音に掻き消された。 ーーー*ーーー*ーーー 「…釣れない」 青年はぽけーっと海を眺めていた。何故か今日は魚が1匹も釣れないのだ。 「あ、友人。今日はこの辺り魚は来ないよ?」 いつの間にか現れた人魚はそういって海面を指差した。 「私の友達が来てるんだー。」 青年は指差した方を見て顔をひきつらせた。 海の中。よくみると巨大な何かが水中から此方をみている。
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