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「やっぱり可愛いな~♪」
青年はニヤニヤしている。
「なんでこんなに可愛いんだろうな~♪」
青年はニヤニヤ、いやむしろデレデレしている。
「食べてしまいた……っ!?」
人魚はやっぱり青年を叩いておいた。
「私のうみねこ返せ!」
人魚は青年の腕から丸いモフモフしたものをひったくる。
それはぷるぷると震える猫だった。勿論ただの猫ではない。所々にヒレのある魚と猫のハーフ。そして人魚のペットだ。
「ケチー」
青年は名残惜しくて手をわきわきしている。
人魚はバレンタインデーの御返しにペットのうみねこをもふらせてあげていたのだが、あまりのデレッぷりと、うみねこの怯えように中止を決断した。
「うるさい猫狂い!」
人魚は青年の手を尾びれで叩いておいた。
「誉められた!」
「なんで!?」
その後おさわり禁止を言い渡すも、仕事もそこそこにうみねこを眺めまわす青年。
人魚はバレンタインデーの失態のお詫びに秘蔵のうみねこを見せたのを激しく後悔した。
「もう友人にうみねこは見せないでおこう……」
怯えるうみねこを見て呟いた言葉は、波の音に掻き消された。
ーーー*ーーー*ーーー
「…釣れない」
青年はぽけーっと海を眺めていた。何故か今日は魚が1匹も釣れないのだ。
「あ、友人。今日はこの辺り魚は来ないよ?」
いつの間にか現れた人魚はそういって海面を指差した。
「私の友達が来てるんだー。」
青年は指差した方を見て顔をひきつらせた。
海の中。よくみると巨大な何かが水中から此方をみている。
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