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「あ!」
外に出た途端、扉に手をかけていたせいでプリントが数枚風にあおられて空に舞ってしまった。
「しまった、やっぱり何かに入れて持っていけば良かったかも」
落ちてくるプリントを回収して数を確認すると1枚足りないではないか
「どこか遠くに落ちちゃったかな…それとも木とかに引っかかってる?」
辺りを見回していると
「…ん?」
ちょうどプリントを持っている人物を見つけた。体格から恐らく男性だろう。落ちていたプリントを拾ったようだ
「すみません。それ私のなんです、ありがとうございます」
駆け寄っていくと声に気付いたのか、彼がこちらを見る。フードを被っていて顔がよくわからない。
「うっかり落としちゃって、助かりました」
彼は無言でプリントをこちらに差し出した。受け取ろうとプリントを掴むが、何故か彼はプリントから手を離さない。
「え?あの…」
シアが戸惑いながら彼の顔を見上げようとすると、フードの中の瞳と目があった。その色は、シアの瞳の色とよく似ているタイガーアイのような暗い黄色を光らせていた
「…見つけた」
「?」
フードの中の瞳が一瞬揺らいだように見えたが、すぐに彼は手を離して去っていった。
「今の何だったんだろう…」
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