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牧田亜理紗は書物の内容を読み上げ終わった後、そのまま重力に引かれて膝から崩れ落ち、うつ伏せで倒れた。
「ドーン」という雷鳴がして雨が降り始め、藤見学園の上空の校舎と雨雲の間の空間に奇妙な文様が出現した。
そして、赤黒い文様が空中で円を作り、そこから何かが数個出現してずるりと地表に向かって落ちていった。
また同時に学園の敷地の壁に沿って、半透明の赤い壁が出現した。
壁は40mほどの高さがあった。
どこから現れたのか、野良犬が学園の敷地の外から校門をくぐって中に入ろうとしたのだが直前で止めた。
異変に最初に気づいたのは、学園の警備員と校門の外に来ていた、学園の食堂へ食材を運ぶための業者のトラック運転手だった。
二人とも半透明の赤い壁をそれぞれ内と外から触れてみるが、冷たくてかなり硬い感触がした。
警備員が身近にあった小石を力いっぱい壁に向かって投げてみたが、カチンという音がして石が跳ね返り、
壁自体には傷一つついていなかった。
警備員がすぐさまスマートフォンで教員室に電話をかけた。
トラックの運転手は、何気なく藤見学園の校舎を見ていたのだが、彼だけは気づいてしまった。
運転手はトラックの中で火をつけようと咥えていた煙草を落としてしまう。
何かが校舎の屋上をゆっくりと移動していることに。
「なんだありゃあ・・・・・・」
40分後、警察と消防、異変に気づいた地元住民が藤見学園の周辺に集まり始めた。
警察と消防が壁を壊せないか確認し始めた。
警察官たちが集まったやじうまたちに注意を促す。
「えー、皆さん。もし学園のなかにお知り合いやお子さんがいらっしゃっても、授業の妨げになりますのでスマートフォンで電話やメールはしないでください。」
ある隊員がレスキュー用のハンマーで、またある隊員はレスキュー用の電気ノコギリで壁を壊しにかかるも
ハンマーはひしゃげ、電動ノコギリは歯がボロボロになってしまった。
壁自体の厚さは0.5cmもないというのに。
「おい、陸上自衛隊にも連絡いれたか?」
「入れましたー。」
その直後、校舎から生徒たちの悲鳴が上がったのを全員が聞いた。
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