学園スライム

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「痛ッ!何これ?え、熱い!」 麻美のまわりにいた生徒たちが、急いで麻美に降りかかった何かをハンカチで拭き取り始める。 生徒達の視線が麻美に向いたとき、教室のドアから何かが流れ込んできた。 いや、地を這って来たというべきか。 くらげではないが、形状はくらげのようで感触は柔らかいゼリーのような何かが教室の中に入ってきた。 体積的には軽自動車1台分といったところだ。 古池のような鼻につく臭いが教室中に広がる。 「何これ!?何これ!?」 「これスライムっぽくね?」 生徒数名がスマートフォンでその"スライム"を撮影する。 ある生徒が掃除用具入れからほうきを取り出し、その"スライム"をつついてみる。 すると"スライム"が、体をいくつもの触手のように伸ばし生徒たちを捕らえ始めた。 そして自分の体の中に取り込んでいく。 生徒達が悲鳴を上げた。 ジューという皮膚がこげる臭い臭いが教室に充満していく。 「あああああああああ、あちー、あちーよぉ!」 「痛い!痛い!痛い!」 "スライム"に取り込まれた生徒達は、数分で窒息して死亡した。 取り込まれた生徒たちの制服が溶け始め、顔や手の部分から骨が露出していっている。 一度は逃れた生徒達も同様に触手のように伸ばされた"スライム"の体に次々に捕らえられ、取り込まれていった。 ほうきや机を投げて抵抗するも成すすべがない。 すぐに取り込んで吐き出されて距離を詰められ、捕食されてしまう。 「いやぁぁぁぁ、助けて、助けてぇぇぇ」 「麻美ぃぃぃぃぃ!きゃあああああああ!」 "スライム"に取り込まれた他の生徒を、引きずり出して助けようとした生徒達も 同じように取り込まれていく。 そして校舎の全ての教室から絶叫が上がる。 "スライム"は何体もいるようだ。 事実、校舎上空に出現した円の文様からは次々と大小何体もの"スライム"が地表に降りかかっている。 スライムたちは校舎の壁面にへばりつき、下へずるりずるりと向かっていく。 残った生徒と教師たちは校舎から飛び出して走って校門へ向かうが、外にいた"スライム"に襲われていく。
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