第10章  臨時同棲

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「実は、お住まい頂いてますマンションの二階で火災が起きまして」 「はっ?」 たぶん、絵に描いたように固まったと思う。 だが実際、すぐにその言葉が現実とは捉えきれないほど驚いた。 しかし、受話器の向こうにそんな事が通じる訳もなく、 事務的に話を続けられる。 「お住まいの六階には、火災によります影響は 全くありませんでしたので、ご安心ください。 ただ火災現場となりました部屋が、 お住まいのお部屋のちょうど四階下にあたりますことで、 水道とガスの配管工事が必要となりまして。 つきましては、約ひと月ばかり、ガスと水道の使用が 不可能となってしまうんです」 しかも、それに続く説明によると、 その一ヶ月ほどの間、ガス・水道なしで部屋を使用するか、 別の生活場所を確保してもらうかになるという。
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