第10章  臨時同棲

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こうして、転がり込むように期間限定のにわか同棲が始まった。 そして、その夜、約束通りに当座の荷物を彼が運んでくれ、 「忘れない内に、渡しておくよ」 彼のマンションの玄関に入って直ぐ、ズボンのポケットから取り出した 合鍵が渡される。 「それ、返さなくていいから」 微笑みながら言われ、モスグリーンのスリッパを出してくれた。 「うん、ありがとう」 しかし、「取り敢えず、こっち使って」と寝室に案内されて 私は、にわかに焦った。 「そんな、私、ソファでいいわよ」 しかし彼は、やっぱり微笑んでかぶりを振った。
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