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「香奈、家事全部なんかしなくていいよ」
「うん。でも、居候させてもらうんだから、
せめて、それくらいはさせて欲しいんだけど」
「そりゃ、してくれるのはありがたいし嬉しいけど。
でも言った通り、俺、しばらく帰りが遅い日もあるから。
食事だって家でしない時もあるし、香奈にだって仕事があるんだから。
洗濯も、掃除も、週末に一緒にすればいいじゃない」
「でも、それじゃあ……」
しかし、言い掛けた私の唇を、言葉ごとリップ音をさせて啄んだ。
「俺は、君に、家事をしに来てもらってるわけじゃないよ。
必要な物は、自由に使ってくれて構わないけど、
いつもと変わりない生活をして欲しい。
っていうか、背負いこむ事だけはしないで。
そういうの、前の奥さん思い出しそうだからさ」
そう言われては、こちらも同じバツのつく身としては言葉がない。
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