第11章  痛む胸

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第11章  痛む胸

にわかに始まった彼との同棲は、結構、楽しい時間になった。 とはいえ、お互い仕事も持ち、ましてや彼が忙しいとあって、 接点としては今までとほとんど変わらない。 しかし、そこはバツを持つ者同士。 互いの間に挟んだ「生活」という現実の扱いには、 さり気なく失敗から学んだことが散りばめられ、 お蔭で、衝突も摩擦も譲り合いの範疇。 そして、それが気楽な時空を作っていることは間違いなかった。 そんな彼との「生活」が始まって、一週間あまり。 二度目の週末を前にして、私に、新たなクライアントが付いた。
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