箱ガール

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   1  隠すことは無限の可能性を生む。  もし目の前に、箱があり、かつ閉じられたものならば、そこには無限が詰まっている。  これは、箱ガールにまつわる物語である。  ゆえに、たとえ箱という存在が、あなたに襲いかかっても、なんら不思議ではないのだ。    2  もし、きみが街で箱ガールを見かけたら、決してその箱を奪おうなどと思ってはならない。嘘だと思うなら、一度やってみるといいだろう。なあに方法は実に簡単さ。箱ガールの視界に入りこまぬよう注意しながら背後にまわりこみ、両手で箱をつかむ。このとき箱がへこまない程度の力でするのがコツだ。そのまま手早く箱を掲げるようにすれば、箱は一瞬で抜ける。だが、しかし、きみは箱の中を見て後悔するに違いないのだ。  ビルの壁に寄りかかり、灰色の雲を仰ぎ見た。大粒の雨が僕の目をしつこく洗う。豪雨だった。となりでうずくまる黒い影に視線を移す。歪んだ視界。はっきりと顔は拝めない。
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