バックドロップ超インナースペース

4/16
前へ
/57ページ
次へ
「一つ忠告したる。あんま思考せんほうがええで。ここじゃ、心の声がダダ漏れやねん。しかも口をついてでよる。気いつけや。なんで俺がこんなんに告られなあかんねん。ほらな」 「軽くディスってるし。でも人間は、考える葦だから思考はやめられないよ。ラスカルだかオスカルの言葉にあったはず」 「パスカルな。また漏れとるで」 「あ、それそれ。げ、漏れてる。まったく、どうなってんの?」 「システムを解明しようとは思わんこっちゃ。ここ形而上学的分野の世界でんねん。答えあらへんのや。えげつないパズルを解き明かすみたいなもんでっせ」 「うーん。仕様みたいなものか。頭の整理が追いつかないけど、とりあえずここが異常な空間だってことは理解したよ。クッ。まったくもって意味がわからないよ」 「漏れとる。漏れとる」 「なんてこった。でも、そもそも悪いのは僕じゃない。この世界の仕組みだ。心の声ダダ漏れって、なんなの? 心の蛇口がゆるゆるなんですか!」 「うっさいな自分。もうちょい静かにできんか? ここは一応、女の子の心ん中やねんから。お上品にせな」
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加