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「一つ忠告したる。あんま思考せんほうがええで。ここじゃ、心の声がダダ漏れやねん。しかも口をついてでよる。気いつけや。なんで俺がこんなんに告られなあかんねん。ほらな」
「軽くディスってるし。でも人間は、考える葦だから思考はやめられないよ。ラスカルだかオスカルの言葉にあったはず」
「パスカルな。また漏れとるで」
「あ、それそれ。げ、漏れてる。まったく、どうなってんの?」
「システムを解明しようとは思わんこっちゃ。ここ形而上学的分野の世界でんねん。答えあらへんのや。えげつないパズルを解き明かすみたいなもんでっせ」
「うーん。仕様みたいなものか。頭の整理が追いつかないけど、とりあえずここが異常な空間だってことは理解したよ。クッ。まったくもって意味がわからないよ」
「漏れとる。漏れとる」
「なんてこった。でも、そもそも悪いのは僕じゃない。この世界の仕組みだ。心の声ダダ漏れって、なんなの? 心の蛇口がゆるゆるなんですか!」
「うっさいな自分。もうちょい静かにできんか? ここは一応、女の子の心ん中やねんから。お上品にせな」
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