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私の方に蓮が近付いてくる。奏は?ーーと思って、蓮の周りを見るが、どうやら近くにはいないらしい。
何せ昨日の朝、佐々木との一件の後に口論をして喧嘩をしたのだ。私から佐々木を遠ざける為とはいえ、“彼氏だ”と私の気持ちも考えずに言ったことがどうしても許せなかった。
奏は軽い男子に見られがちだが、意外と好きになった異性に対しては真剣に恋愛に取り組んでいる。と言っても、奏に彼女がいた所を見たのは1回だけだが。
だからこそ、あんな軽い嘘はついてほしくなかった。そうは思っていたが、やはり後々に後悔する。だから謝ろうと思ったのだが。
「海音!奏から伝言!“痴漢には気をつけろよ”だってさ!」
痴漢って…。奏のストレートすぎる伝言に思わず口が引き攣ってしまったが、てっきりそんなことすら伝えられないと思っていたから、内心ほっとする。
さすがにこんな大勢いる中で佐々木は何もしてこないと思う。それ以前に昨日も大したことはされていないのだがーー
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