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「蓮!愛田羽さん!おはよう!」
バスに入ると佐々木が昨日は何事もなかったのように元気よく手を振る。私は軽く会釈した程度だが、蓮は佐々木にハイタッチして挨拶する。
「今日はクラス…といっても、班だけど、高校初めての行事だから楽しみだね!」
佐々木は色んな人と会話するが、私はその輪の中に入らなかった。むしろ皆が、佐々木に何も違和感も感じずに会話できているところが不思議で仕方がない。
「そういや、最近友達が聴いてる曲なんだけどさ!『カールマイヤー』ってみんな知ってる?」
蓮が奏が前に私に聴かせた曲の名前を出し、私の背筋が凍りつく。何であの曲の名前を出すんだと。
「めっちゃ、終盤がカッコよかったからさ!お前らも聴いてみろって!」
蓮の感性はやはりおかしい。あの曲のどこをカッコいいと感じたのか?
蓮は携帯を取り出し、大音量とは言わないが、それなりの音量で曲を流した。女性の悲鳴がまた聴こえた為に、私は耳を塞いだ。
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