ー忌憶ー

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先生も半分諦めた様子の中、“1名”だけ学年全員に向かって、大声を張り上げた。 「なんだこのタラタラとした動きはっ!お前達、さっきから文句ばかり言って、 そんなにやる気がないなら今からでも帰れ!」 「ひ…樋山先生…。」 「中井先生(ナカイ)ここで注意しないと生徒達を正しく導いてあげれません。我々、教師までもが指導する志しを失ってはいけないと思うんです。」 樋山先生の熱意のこもった瞳に教師陣も圧倒され、さっきまで見て見ぬフリをしていた先生が自分勝手な行動や私語をしている生徒を叱りつけていった。 「あひゃあ~、やっぱヒヤマンは凄いわ。ヒヤマンがいなくなったら、ウチらの学校終わりだね。」 「…そうだね。」 樋山先生は確かに凄いと思う。あそこまで生徒に対して、本気でぶつかろうとするのはおそらく数少ない。 だけど、何でだろう。私も心から尊敬しているのに、あと一歩“好きになれない”のは。
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