ー忌憶ー

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「北沢。これは何だ。説明しろ。」 「あぁん?てめっ、教師だと思って……」 北沢の顔が凍りつく。いや、北沢だけではない。おそらくその現場に居合わせた全員が樋山先生を見て、動けずにいただろう。 「説明してくれないか北沢?」 「あっ…え…」 「説明…してくれるよな?」 北沢は唇を震わせながら、「はい」と返事した。樋山先生は「よし、偉いぞ。」と笑顔で返したが、それ以前の顔や雰囲気を見ていたら、どうしても笑うことは出来なかった。 「金本先生(カネモト)北沢は俺が連れていきます。野村先生(ノムラ)の元へ連れて行って浅井の様子を見てやってください。」 樋山先生は北沢の背中をぽんっと叩き、北沢と一緒にバスを置いた駐車場へと歩いていった。 クラスのみんなはその一部始終を何をすることなく、ただ息を呑んで黙って見てた。
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