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「ひどいよ……」
「違うって言うのか?」
人前で凌辱され
それでもこの人に逆らうことさえできず。
快感に垂涎しながら
己が汚した床が
否定できない何よりの証拠だ。
そう言わんばかり
征司は指差し笑った。
それから
壁に掛けたコートを手にとると
「あ……」
何食わぬ顔してそこに
幾通もの手紙を落とした。
「読むなら拾って読め」
――1通じゃなかったんだ。
全身が震えた。
「自分が汚した物をな」
どれも燃やされた手紙と同じ
丁寧に閉じられた純白の封だった。
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