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惨劇の生存者 1 後編
「副司令!アフガンの空中で待機しているピークォドにダンボール箱は積まれていないか!」レナードは叫んだ!
ミラーは急に叫ばれて少し驚いたようだが、冷静に答えた。
「ああ…ボスの予備用の弾などの支援補給の為に補給用ダンボールを積んであるが…何をするつもりだ?」
「ダンボールを使ってその兵士をこちらに近づけさせるんだよ」
そこまで言うとオセロットは「なるほどな」と言った。レナードの意図が分かったらしい。一歩遅れてミラーも気づいた。
「まさか…9年前ボスがダンボールを愛用していたのを利用して…」
「そう、俺たちは全員ボスがダンボールを被って歩くぐらいダンボール好きだと知ってる。だからそいつが9年前のショックでいろいろなことを忘れてしまったなら、そいつの目の前でダンボールを被って歩くボスを見せてやって、思い出させるんだ!」
ミラーもその意見には一理あるようで、無言でピークォドとの連絡用の端末をレナードに渡してくれた。
レナードはピークォドのパイロットに事情を説明して、支援補給を要請した。あとはボスに説明するだけだ。
ボスへの説明は、ミラーがしてくれた。今からダンボールをあんたのとこに届ける。俺たちに教えてくれたダンボールの使い方で、かつての仲間の目を覚まさせてやれ。そうミラーが言うとスネークは意味を理解したらしく、少し笑った後、<了解>とだけ無線が来た。
まもなくダンボールが届き、スネークはダンボールを被り、兵士に見える範囲を歩き始めた。
少しずつ近づいていき、兵士から5mぐらいの位置で歩いたら、スネークの方に関心が向いたのか、スネークの被ってるダンボールの方に歩いてきた。司令室のミラーとオセロットとレナードは、静かにその様子を無線機越しに聞いていた。
兵士の足が止まった。ダンボールの目の前だ。そして兵士はたった一言だが、声を発した。
「まさか…ボス…??」
司令室で3人は静かに息を吐き、スネークは優しい声でこう言った。「待たせたな」と。
その兵士、いや、かつての俺たちの仲間は、涙を流しているのか、鼻声で「9年間…この日がくるのを待ち望んでいました!」そういい、スネークに敬礼した。
成功だ。レナードは歓喜の叫びをあげた。かつての仲間が戻ってくるのだ。ミラーとオセロットも満足そうに顔を見合わせた。
「よくやった。ボス。回収用のヘリを向かわせる。」ミッション成功だ。
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