第三章 #2

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上着をハンガーにかけていた主任が私の笑い声に振り返る。 「おい、勝手に触んな。」 「むっ……」 呆気なく取り挙げられた手に苛立ちを感じ、私はおもちゃを奪われた子供の様に頬を膨らませた。 「亮平さんは……、浮気した事はありますかあ……?」 この嫌な人間の上に立ちたい。 一瞬でもいい。 困らせてみたい。 「は……?」 主任のイラっとしている様子の顔を、ネクタイをグイッと掴み引き寄せる。 「私と……しませんか?」
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