第三章 #2

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「さて……」 そう息をついた芦名主任が、そのデザイン画を茶封筒に入れてデスク後ろの金庫へといれる。 少し厳重過ぎやしないか? と、思われるかも知れないがこの会社程の雇用人数とも成ればどこにライバル会社のスパイが潜んでいるかはわからない。ましてや、芦名主任はその界隈では引く手あまたの売れっ子デザイナー。 用心するに越した事はないのだ。 少し名残惜しみながらもその様子を見ていた私の肩を、彼がパシッと一叩き。 「ボサッとするな。さっさと行くぞ。」 「え……?行くってどこへ……?」 「飯。奢ってやるつっただろ。」 「き、今日ですか!?いやっ……、あの、今日はもう帰って眠りたいんですが……」 頭の中で小鳥がぴーちくぱーちく。 布団が恋しいと歌っているのだ。
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