第三章 #2

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「わ、わかりましたよ!払いますよ!!いくらなんですか !!」 少し驚いた顔をした主任がデスク引き出しから計算機を取り出す。 「定時が5時……、今は9時を回っているから。四時間の残業。俺の手取りがこんなもんで……それを日割りにして……まあ、こんなとこか。特別に端数は切ってやるよ。」 左指がカタカタ舞い踊る計算機の上。 弾き出された数字に私は目をギョッと見開いた。 「こ、こんなに……?」 それは、私の一月の家賃分に相当する金額だ。
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