第三章 #2

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バッグに手をいれたまま固まる私に、彼はニヤリ口元をあげた。 「どうした。さっさと出せよ。さっきまでの威勢はどこにいったんだ……?」 性悪で、ケチ…… 益々嫌な男だな…… 「すみませんでした……」 「あ ?聞こえねえな。」 「すみませんでした……よろしかったら……、お食事……ご一緒させて下さい……」 空調の機械音にすらかき消されそうな、か細い私の声。 「最初からそう言えばいいんだよ、無能が。おら、行くぞ。」 これほどまでの敗北感…… しばらくは、立ち直れそうにもない。
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