第十章 #2

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私はいつの間にか色んなことを見逃していたのかもしれない。 夢と現実の差に嫌気がさして、卑屈になって 彼の様な純粋な素直さをどこかに忘れていたのかも…… 「よーし、宮瀬 結衣ファン第一号君 よ!記念にご飯に連れていってあげようぞ !!」 「いやっ……、僕別にファンって訳じゃ……」 「なんですと !??」 「いえ……、お供させて頂きます。」 よしよし、それでいいのだ。 渋る大倉君に手招いて 意気揚々と会議室の扉を開ける。 「あっ…… !!間違ってもお姉さまを送り狼してやろうなんて考えたら……」 「……大丈夫です。宮瀬先輩家からまた歩くのキツいんで。」 「な……なら、オッケ……」 今時の若いもんは実にあっさりしてる…… このまま三十路に突入して、四十路になって…… 独身の私はいつか あの時もったいない事したわ~ !! と、後悔しないか……心配になってきた。
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