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第十一章 #2
「…………」
オレンジ色の柔らかい光が室内を照らす中、シングルベッドの上に大人二人は少し狭い。
芦名主任は私の手をきゅっと握ったまま、その安心しきった寝顔を私に見せている。
彼は……、
私を彼女と勘違いしてるに違いない。
『……行くな……』
あの言葉もきっと……
彼女に向けられたもの。
眠っている間も忘れられない位愛しい人がいながら……この手はどうして私を抱いたのか。
主任にとっての私はただの無能な部下で、それ以上でもそれ以下でもないはずなのに……
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