おしえて、ママ

ねぇママ。
今日ね、ママの所へ来る時に幼なじみの沙織と道でばったり会ったの。

沙織ったら、子供を抱えて服もみっともないヨレヨレのものを着て、何だか哀れだったわ。

私はママが教えてくれた通り、子供はまだ作ってないから自分を十分磨いてるわ。
だから綺麗でしょ？ママ。

ママが私の事を褒めてくれるから、私ずっと頑張れたの。
お稽古も、ママが教えてくれたものを選んで通ったら書道もピアノも剣道も英会話も水泳も全部賞を取れる所まで行けたわ。

ママ、本当にありがとう。

ねぇママ、覚えてる？
大学受験の時、私が行きたい短大があったよね？
でも、ママは短大なんか出たらカッコ悪いから国立大学へ行きなさいって言ってくれたわ。
だから、私頑張って合格できた。

途中で、男友達や好きな人も出来たけど、ママが全部調べてくれて、私が悲しむような事にはならないように守ってくれたよね。

ずっと綺麗な体でいられたのも、ママのおかげ。
就職も、ママがずっと一緒に面接まで付いてきてくれたから、あんなにいい会社に就職出来たんだわ。

その後も、ママが私を守ってくれて、変な男からのプロポーズは全て断ってくれた。

ママは何でも知ってたわよね。ママの言うとおりにすればいいのよ、って言ってたけど、本当ね。
だから私、完璧な女性でいられたわ。

でも………ママ、ごめんなさい。

ママの言う事を聞かないで、彼と結婚してしまった事、本当にごめんなさい。

ママの言いつけに背いたのはこれが最初で最後だったわ。

それでもママは私を許してくれたのに、私、またママの言いつけを破る事になりそうなの。

ママは、世間体が悪いから離婚はするな、って言ったよね？

一昨日、彼が離婚しよう、って言ってきたわ。
私、どうしていいのか分からなくて、ママに聞きに来たの。

……あぁそういえばもうこの話はママに言ったわね。混乱して、また話してしまったわ。

ねぇママ、私どうすればいい？
ママの言うとおりにするわ。
さっきもそんな恥を晒すなら死んだ方がまし、って言ったから、ママの言う通りにしたでしょ？

ママ、私言うとおりにするから。
起きて。ママ。

ねぇママ。

教えて、ママ…

ママ…

ママ…

ママ…