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溜め込んで、溜め込んで最後には爆発してしまう。その寸前にどうしても屋上に来たかった。
俺は帝を求めていた。
「オレに、助けを求めてんじゃねえのか?」
そうかもしれない。いや、そうだ。無意識にそうしていた。
「違うって、フツーに会いたいなって思っただけ」
「じゃあ泣くな」
「泣き虫…なんだよ、俺」
「オレはお人好しじゃねえ、お前がそうやってはぐらかすなら何も聞かねえぞ。それでいいのか?オレならお前を救えるかもしれねえから来たんだろ?」
言えるはずがない。
だってまた失ってしまうかもしれない。せっかく積み上げてきた大切なものがいとも簡単に壊れてしまう。もう嫌なんだ、あんな思い二度としたくない。
嫌われたくない、避けられたくない、軽蔑されたくない。そんなことされるくらいならずっとこのままでいい。
「帝、ごめん。俺は本当に大丈夫なんだ、ありがとう」
「……っ」
へなりと笑って見せた。
そう、俺は大丈夫。
だって帝と出逢えたし、翔とも仲直りできたんだ。だからそれだけで幸せなんだ。
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