今日俺は死ぬハズだった⑥

5/10
前へ
/110ページ
次へ
溜め込んで、溜め込んで最後には爆発してしまう。その寸前にどうしても屋上に来たかった。 俺は帝を求めていた。 「オレに、助けを求めてんじゃねえのか?」 そうかもしれない。いや、そうだ。無意識にそうしていた。 「違うって、フツーに会いたいなって思っただけ」 「じゃあ泣くな」 「泣き虫…なんだよ、俺」 「オレはお人好しじゃねえ、お前がそうやってはぐらかすなら何も聞かねえぞ。それでいいのか?オレならお前を救えるかもしれねえから来たんだろ?」 言えるはずがない。 だってまた失ってしまうかもしれない。せっかく積み上げてきた大切なものがいとも簡単に壊れてしまう。もう嫌なんだ、あんな思い二度としたくない。 嫌われたくない、避けられたくない、軽蔑されたくない。そんなことされるくらいならずっとこのままでいい。 「帝、ごめん。俺は本当に大丈夫なんだ、ありがとう」 「……っ」 へなりと笑って見せた。 そう、俺は大丈夫。 だって帝と出逢えたし、翔とも仲直りできたんだ。だからそれだけで幸せなんだ。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

316人が本棚に入れています
本棚に追加