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ぶわりと涙が流れ落ちる。
何よりも腹が立つのは自分自身になんだ。本当に自分が大っ嫌いになる。あの人に会う度言いなりになり、好き放題させてしまう自分自身が何よりも大嫌いだ。
「ホント気持ち悪いよ、自分が嫌になる」
また震える。
生々しくフラッシュバックする光景は耳を塞ぎたくなるくらい卑猥でならない。自分の淫らな声が堪らなく不快にさせる。
「そうか…」
「今もまだ俺は縛られているんだ!俺は汚い、最低最悪なクズなんだよ!快楽に溺れて誰にでもケツを振るど変態なんだっ、」
もう俺は戻れないはずなのに、帝の腕が俺を包み込んでいて、狂いそうな心を落ち着かせる。
「辛かったな」
「うぅ…っ、ひっく」
「大丈夫だ、好きなだけ泣け」
ヤバい、この感情を言葉にしたら張り裂けてしまいそうだ。
優しくなんてしないでくれ、そうじゃないと俺は抑えられなくなる。
「もう、嫌なんだ…ッ、もう、苦しい…ッ、」
たすけて、助けて。
「オレがなんとかしてやる。だから…」
涙でグチャグチャに濡れた顔を持ち上げられる。どきりとするくらい距離が近い。
「もう自分を許してやれ」
ああ、好きだ。
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