きみにクローバーの花束を

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彼は私の護衛で、私の命を守るのが任務。 食欲不振、栄養失調の上の餓死なんて遠回りな自殺をされないように、あれやこれやと工夫をこらすのだ。 そこには私への「心配」はない。「責任」は存在するとしても。 「どうした。もしかしてあまり美味くないのか」 「ん?」 唐突に問いかけられ、慌てて返事をする。 「眉間にしわを寄せて食べているから」 少し首をかしげてこちらをのぞき込むシオン。澄んだ瞳に吸い込まれそうだ。 なんでもないと首を振って、私は表情を隠すためにうつむいて朝食を食べ続けた。ふわりと広がるバターの香りに、また胸がぎゅっとした。 昔は無邪気に彼と遊んでいたのに、いつから私はこうなってしまったんだろう。   * 無邪気な子どもだった。素直な子どもだった。 それが裏目に出て、身代金要求のための誘拐事件がついに3回目に及んだとき、両親が私に与えてくれた護衛役のシオン。 あれは確か8歳の誕生日直前だった。プレゼントのように与えられた「友達兼兄」に、私はすぐなついた。
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