アスファルト

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成績優秀、完全無欠、文武両道、才色兼備、八方美人,etc,etc. 皆が知るこの学校の偶像的存在の彼女を一言で表す言葉など無いのかもしれない。彼女の微笑みはまるで慈愛に満ちた天使そのもので、その美声はどんなオーケストラだって、自然の美だって敵わないだろう。ファンクラブだって有るらしい、と言うかある。寧ろ無い方が可笑しい。 曰く、この街のゴロツキを改心させて、社会に復帰させたとか。 曰く、この街にいじめが無いのは彼女がいるからだとか。 曰く、汚職にまみれた公務員、ひいては政治家など、彼女の存在を知って嫌われたくないが為に自首しただとか。 創作の香りも幾つかするが、火の無い所に噂は立たないとも言う。つまり、こんな噂が立ってしまうほど彼女は凄い人間なのだ。 此処まで語っておいてなんだが、別に自分はストーカー等ではない。ストーカーなど彼女に付く訳がない。寧ろ彼女の知識はこの街ならば一般常識とでも言おうか。 さて、こんな自分だが、実は悩みがある。 予め言っておくが恋ではない。叶うはずもない恋などするだけ無駄だし、そもそも彼女に恋をする人が居るのだろうか。いや、そりゃあいるだろうが、その心の内に仕舞っている人しか居ないだろう。 話が逸れたが、今は自分の悩みだ。
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