種村奈緒

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 「こうちゃんは何がいいの?」  私…? 色々案が出た中から考えると、久留米さんの案が良いかな。  「指輪が良いな。雪だるまの中に指輪隠しす紳士って何だかロマンチストでミステリアスで幻想的な方だと思います」  それにどんなプロポーズよりも思い出に残ると思う。  「ええと、さっちゃんさんは、何が良いんです?」  月下氏は言い出しっぺのさっちゃんが答えていない事に気付き、彼女に訊ねた。  「私…? 私はね。月下さんが望む物を好きなだけ欲しいかな」  さっちゃん…その台詞月下氏が勘違いすると思うんだけど。  「雪だるまに入り切るかどうか判りませんよ、私の欲しいものは…」  「欲張りね」  「あなたも」  さっちゃん、月下氏二人の間の空気だけ異様な雰囲気が漂い始めたんだけど……  「さて、そろそろ面談としましょうか。私はアトリエでお待ちしておりますので、お一人ずつ来て下さい」  氏はそう言うと屋根裏のアトリエの方へ踵を返していった。
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