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その時だった。 庭の方への出入り口となっている窓から、コンコンっと小さなノックが聞こえて振り返る。と、刷りガラスの向こうに人の影が見えていた。 また、来たんだ…… 『また、サボったの?』 『それは那緒も同じじゃん。』 『……そうだけど……』 皮肉を言ったつもりが、皮肉で返され私がムッと表情を変えた事にも気付かず、制服に厚手のジャンパー姿の藤真は当然の如く家に上がり込んで来る。 こんな日が一週間に一回、多い時には三日連続なんて事もあった。 藤真のお母さんは専業主婦で家は真向かい。 バレるのも時間の問題だろうな…… と、私は庭に降り積もった雪の上に続く藤真の足跡を見て思った。
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