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「うん、美味しい。」
「良かった。カレーだけはお母さんに直々に教えて貰ったから自信があるんだよね……。」
えっへんと得意気に咳払いをしてから、スプーンをお皿へ近付け様とした私の手がピタリと止まる。
昔だったら、この辺のタイミングで、お母さんが私の良い気分に水を差す頃。
キッチンのカウンター向こうから顔を覗かせて、『那緒。自分で作ったんだから、人参もちゃ~んと、食べなさいよ~ ??』そう言って意地悪に笑うんだ。
明るいお母さんの、明るい笑顔が家の中いっぱいに広がって……。その笑顔は直ぐに私と、お父さんにも伝染して……、冬の寒さなんか……、ちっとも気にした事なんて無かったのに……
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