トロけるようなキスをして――(穂高目線)

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 コンビニの影から、顔だけ覗かせて様子を窺うと、両手を擦り合わせ、肩を竦めた細身の体がそこにあった。 「ひとりで見るよりも、ふたりで見た方が、もっとキレイなんだろうな……」  そんな事を呟きながら、夜空を見上げる千秋に、愛しさが募ってしまう。俺の事を想ってくれる千秋が、どんどん好きになってしまうじゃないか。  嬉しさを口元に湛えつつ、足音を立てないように、ゆっくりと近づく。両手に息を吹きかけて、温めながら歩き出す体を、さらう様に後ろから、ぎゅっと抱きしめてあげた。  その瞬間、千秋の髪の香りが鼻腔につく。俺の大好きな匂い―― 「お帰り千秋。今日もお疲れ様」 「……穂高、さんっ!?」  それはそれは、驚いた声をあげ、大きな瞳を更に大きくして、俺の顔を見てくれた。その瞳に嬉しさが滲んでいるのが分かり、更に微笑んでしまう。
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