トロけるようなキスをして――(穂高目線)

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「今夜は冷えるせいかな、やけに千秋の身体が、あったかく感じるよ」  率直な感想を言うと、体に回してる腕をぎゅっと掴み、照れた表情を浮かべ視線を外して、ふわりとはにかんでくれた。  俺と付き合ってから、いろんな顔を見せてくれる千秋に、目が離せないんだ。 「穂高さんの身体も、すっごくあたたかいよ。まるで背中に、毛布をかけられてるみたい」  嬉しい事を言ってくれるな――君の身体の方が、ずっとあたたかいというのに。  避けられた視線を追いかけるように、合わせてあげたら、腕を掴んでいる片手を放し、俺の左手にそっと触れてくれた。 「ねぇ、いつからここにいたの? 車が、見当たらなかったんだけど」  浮かべていた微笑みを消し去り、眉根を寄せてくれる。そんな顔しなくても、君がいれば寒さなんて、へっちゃらなのにな。
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