トロけるようなキスをして――(穂高目線)

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「ホワイトチョコなのに、うっすらと緑がかってますね」  その言葉に、箱の中にあったカードを手に取り、素早く読み取る。その内容に、成る程なと感心。 「ん……何でも、白ワインに使うナイアガラという葡萄を、100%使ったチョコレートらしい」  香料じゃない独特の香りは、そのせいだったんだ。 「白ワインって、アルコールが入ってるんですか?」 「いいや、造る工程で飛ぶみたいだが、これを食べると、せっかく作ったカフェオレの甘さが見事に、消し飛んでしまうかもね」  これだけ芳醇な香りを漂わせているチョコだから、尚更だろう。 「なら、こっちを先にっと」  テーブルに置いてあったマグカップを手に取り、口をつける千秋の優しさに、ほんわかと癒されてしまった。そういう優しい気遣い、君らしくて、すごくいいな――
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