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「このカフェオレの方が、俺にとっては、ビンテージ物かも」
そして俺が喜ぶであろう言葉を、満面の笑みを向けて、言われてしまったら、どんな顔していいか、分からなくなってしまうよ。
頬に溜まっていく熱を感じながら、ふっと視線を逸らし、箱の中にあるチョコに手を伸ばした。
「嬉しい事、言ってくれるね。そんな千秋に、はい、どうぞ」
手で摘んだそれを、千秋の口元に持っていくと、恨めしげに俺の顔を上目遣いで見てくれる。
何かを企んでるでしょ? っていう表情を浮かべてくれる千秋が可笑しくて、笑いを噛み殺すのが大変だ。
実際は、俺の照れ隠しなのに、ね――
食べてほしかったので、チョコを何度かくちびるに当ててやると、諦めた顔して、手にしたマグカップをテーブルに置き、素早くぱくっと口に含んでくれた。
「――美味しい」
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