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最後に軽く、ちゅっと触れるだけのキスをして、顔を離すと、眉根を寄せ、怖い顔して睨んでくれる瞳があった。
「穂高さん、ひどいです! 美味しかったのに、変な横取りして」
「そんな風に怒ってる顔も、可愛いね。食べちゃいたいくらいに」
「話を逸らさないでください。それに、食べられたくないですからね」
言いながら少しだけ横に退けて、寄り添っていた身体の隙間を空けた。だけど拳ひとつ分の距離。ソファにはまだまだ、余裕があるというのに、このほんの少しという距離が、千秋の気持ちを示していて、微笑まずにはいられない。
「またまた……無理して。そんな可愛い千秋には、トロけるキスを、プレゼントしてあげる」
怒ってるであろう千秋の頬を、左手人差し指で、つんつんと突いてから、箱に入ってるチョコをひとつ、口に放り込んだ。
横目で俺の動きを見、不思議そうに首を傾げる、隙だらけの身体を、勢いよくソファの上へと押し倒す。
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