残り火番外編 トロけるようなキスをして

トロけるようなキスをして――（穂高目線）

「わぁっ！？」

　驚いた表情を浮かべ、固まる千秋の身体に素早く跨り、息つく暇を与えないように、くちびるを重ねてあげた。

　ちょっとだけ溶けてしまったチョコを、つるりと移してやると、嬉しそうな顔して、俺の首に両腕をかけてくれる。

　チョコを移すだけのハズが、そんな事をされたら、キスが止められないじゃないか――

　唇の角度を変え、ゆっくりと味わうように、千秋のくちびるをちゅっと食む。ふわりと香ってくる、カカオのニオイに導かれ、舌を割り入れて、千秋と一緒に美味しさを味わってみた。

「んっ……」

　自分で言っておいてなんだが、本当にトロけそうなキスだ。頭の芯がドロドロに、溶かされていくようだよ。