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意味深な流し目をして、千秋をじっと見つめてから、手にしたチョコを、ぽいっと口に放り込み、追いかけてもらうべく、寝室に消えてやった。
ベッドで横になり、待つこと暫し――
少しだけ口をモゴモゴさせた千秋が、ほくほくした顔して、寝室に現れてくれる。俺と目が合った途端、大きな瞳を嬉しげに、細めてくれるそれが、憎いの何の。
「俺のを、奪いに来ると思ったのに。箱の中にあるヤツ食べたな、千秋……」
「だって穂高さんが、イジワルするからだよ。大きいの食べたかったし」
――ほほぅ、大きいのを食べたかった、ね。
ベッドに背を向けて座る千秋に抱きつき、細い背中に下半身を、ぎゅぅぎゅぅと押し付けてやる。
「大きいよ、ほら」
「んもぅ。俺が食べたいのは、チョコなんだってば。穂高さんのバ――」
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