第12章  小雨模様のパリ(続き)

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「ごめんね、それにはちゃんと答えられない。 三日かもしれないし、一週間かもしれない。 もしかしたら、数か月かかるかもしれない」 そんな……。 苦しそうに視線を落とした彼の頬を、私は、またそっと撫でた。 「でもね、衛。私の心は、あなたの傍に置いて行く。 そして、もし私が答えを見付けられて、 あなたと一緒に住みたいと落ち着いた気持ちで思えたら、お願いがあるの」 「お願い……?」 ゆっくりと戻ってきた彼の視線に、私は頷いた。
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