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しかし、
「ここ、前の奥さんと暮らしてた場所でしょ?」
低く言った私の言葉に、彼の顔がハッと凍りつく。
そして「ごめん」と小さく謝って、視線を落とした。
「俺、自分の気持ちだけでいっぱいで鈍感すぎた……」
そして、再び謝る彼の頬を、私はやっぱりそっと撫でる。
「衛。気付いてくれて、ありがとう。そして、少しだけ時間をちょうだい。
その間に衛も、やっぱり私と一緒に住みたいのか、落ち着いて考えて欲しい。
そして、一緒に住むなら、
衛は、私とどんな風に暮らしたいのか考えて欲しいの」
うん――。
頷いた彼から、フワッと抱きしめられた。
そして、体を預けた彼の囁くような低い声が耳元で呟いた。
愛してるよ、香奈。
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