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第12章 小雨模様のパリ(続き)
「私、一度失敗してるでしょ?」
「でも、それは俺だって……」
言い掛ける彼の言葉を遮るように、私は、ゆっくりとかぶりを振った。
「これは、私の問題。気持ちが先行して、
それに流されるように事を進めた結果、前の結婚はダメになった。
だから、同じ過ちは繰り返したくないの」
「でもそれって、何が、どうなったら前に進めるの?」
「流されて事を進めることがないくらい、気持ちを冷まして
落ち着かせられたら」
「それには、どれくらいかかるの?」
しかし、切なげにそう尋ねる彼に、私は再びかぶりを振った。
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