一章:一節 神霊廟に迷い人

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一章:一節 神霊廟に迷い人

獣耳かと見違えるほどに尖った金髪ないし薄茶色の短い髪に、「和」の文字がヘッドフォン。薄紫のノースリーブに紫のスカート。まるで魔王が好むマントをその背なや羽織り、腰には柄に太陽を象った七星剣を携え、手に持つ笏(しゃく)は眩い光を放っている。彼女を知らない者がいたならば「奇抜」な格好といえよう。 「ふむ。………では、行ってきます。」 そんな奇抜な格好の豊聡耳神子は神霊廟の玄関の扉を開けた。そして固まる。 「………ん?」 目の前の光景が彼女の歩みを止めた。 倒れた人物。その人物が纏う服はボロボロで肌の露出が多い。そこには無数の切り傷や矢が刺さっており、トドメと言わんばかり一本の刀が鍔が背中に付くほど深く腹を貫いていた。血が彼を覆うように溢れている。 「布都!!屠自古!!ちょっと!!」 神子は大声で神霊廟にいる二人の名を呼んだ。
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