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「それから太田から連絡が入ってますが……」
「そうだなあ、こちらから後で電話すると言っておいて」
「分かりました」
そう言って合田は応接室から執務室に向かう。執務室には既に河田が入っていた。
「ご苦労さん」
「あっ、総理、お疲れ様です」
河田は東京都出身、当選5回の衆議院議員で60歳、戦前の河田財閥を祖とする財界に結びつきの強い人物である。
「どう、マスコミ対策は?」
「なんとか漏れないようにはしてますが、東日だけはしつこいですね」
「東日? そういえば、1人いたね、しつこいのが」
「高見とかいう新聞記者ですか」
「そうそう、彼……」
「彼ならもう死んでますが」
「あっ、そうだったね。あ~~いう気骨のある記者が少なくなって来ただけに残念だね」
「そうですね」
「それで?」
「はい。北朝鮮との最終調整まで後3回ほどは渡朝するつもりですが、お話は例の原子力発電所の件なんですよ」
「あと3基は増やしたいって言ってるんだろう?」
「そうです」
「今、北朝鮮側が保有している核ミサイルが20基、核弾頭ミサイルが50発、転用可能ミサイルが200発……それに原発をあと3基はなあ。徐々に民主主義に体制を移行しつつあると言っても、独裁制である事にはまだ変わりないし……」
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