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「俺、ちょっとコンビニに行って新聞買って来るよ」
高見の事件の事は勿論だが、その他の事も知りたかった。
「大丈夫? あたしが行こうか」
「いいよ。それに少し体も動かさないとね」
「うん、分かった。じゃあ、ついでに牛乳を買って来て」
「オーケー !!」
卓司は痛い体を引きずって起き上がるが、パンツ一丁のままである事に気付く。
「沙也加ちゃん、俺の服は?」
台所から目玉焼きの香ばしい匂いが漂って来る。沙也加は右手にフライ返しを持ったまま振り返る。
「Tシャツはボロボロだったから捨てちゃった。それと、ジーンズは汚れてたから洗濯してベランダに……。今、上の服、探すね」
沙也加はガスコンロの火を止めてリビングに出て来ると、部屋の隅にある洋服ダンスを開けて物色し始める。卓司はその様子を見ながらベランダ寄りのサッシ戸を開け、ベランダに出る。
夏の太陽がまばゆい光を降り注いでいたが、空気は乾燥しており、吹く風は傷ついた体に息吹を与えてくれるようであった。
「…(お~~っ、札幌市内が一望できるよ)」
ベランダから暫らくの間、景色を眺め、リフレッシュした後で物干し竿に吊してあったジーンズを取り込み、サッシ戸を閉め、それから、ベッドに腰を下ろして両足を突っ込む。
「…(ああ~~っ、ジーンズもかなり擦り切れている)……沙也加ちゃん、ここは何階?」
「……7階だけど……こんなのしかなかった」
戻って来た卓司に沙也加が差し出したのは、黄色地に赤のラインが交じった、見た目にも派手なアロハシャツだった。
「あはははっ、どうしたの、これ?」
「友達がハワイに行った時に買って来てくれたお土産。恥ずかしくて着た事がないんだけど着れるかな?」
「アメリカサイズって言って、アメリカの物は日本のより一回り大きく出来ているから大丈夫だと思うよ」
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