第4章 『事実』

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〔2〕          着信を確認すると電話は友人の大月からのもので、食事後、テーブル前に座ったまま早速、携帯を耳に当てる。 「……もしもし」 『お~~っ、紺野、久しぶりじゃないか。札幌で怪我したんだって? さっき北川から電話もらってさ、それで電話したんだよ』 「そうなんだけど、後2、日は動けそうにない」 『そうか。まっ、お悔やみは高見の家に直接行ってすれば良いか、って行きづらいか』 「麻衣子か」 『まあな……』 「10年も前の事だからもう気にはしてないよ」 『ならいいけど』 「で、話は?」 『うん、今まではお前の所在が分からなかったから警察には話せなかったけど、参考人の上に一応お前の所在が分かった以上、聞かれれば俺も立場上話さざるを得ないからさ。前もってその事だけは言っておこうと思って……』 「了解。実は、俺も午後からこっちの警察に行こうかとは思っていたとこだったんだよ」 『そうか、それを聞いて肩の荷が下りたよ。友達を警察に売るような事はしたくないからさ』 「分かってるよ」 『それと、高見から変なメールもらったんだって?』 「ああ……」 『近いうちそれを俺にも見せてくれよ』 「いいぜ」 『東京に戻ったら連絡くれよな』 卓司はひとつ大きな溜め息を吐いて携帯を持ったまま立ち上がり、ベッドに腰を下ろす。洗い物を終えた沙也加は部屋の右隅の方でゆっくりと出掛ける準備をしていた。 「聞いたぞ、へへへっ、麻衣子」 「なんだよ、そんな嬉しそうな顔をして……」 「誰ですか、麻衣子って?」
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