第4章 『事実』

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『始めに、日朝関連のニュースからです。 北朝鮮と国交回復を目指している合田(ごうだ)総理大臣は大筋で合意が出来た事を発表しました。細かい点は後日、事務レベルで岸山外務大臣と松枝事務次官が北朝鮮に渡って煮詰めるという事……』 「…(いよいよ日本も北朝鮮と国交回復か。大月は『東アジア局』だから忙しいだろうに……こんな時に高見が死ぬなんて……そういえば、今日が通夜だったな)」 『続いては、米軍空母ミニッツの横須賀港寄港のニュースです。 今日、核ミサイルを搭載した米軍空母ミニッツが横須賀港に寄港しましたが、横須賀港にはそれに抗議するボートが多数乗り出し、一時、辺りは騒然としました……』 「…(あっ、田舎に電話しないと……)」 携帯を手にし、田舎の電話番号にタッチ。久しぶりの電話であった為、若干緊張する。 『……トゥルルルルッ、トゥルルルルッ……はいっ、紺野でございます』 「母さん、俺……」 『卓司なの、あなた今、どこにいるの。母さんも父さんも随分心配したのよ。携帯に電話しても全然繋がらないし、部屋の電話には出ないし……』 「ごめん、電話代払ってなかった。それで、今、仕事で札幌にいるんだけど、ちょっと怪我しちゃって連絡取れなかったんだよ」 『怪我って、大丈夫なの?』 「うん、仕事中、転んじゃって軽く頭を打ったんだよ。それで2、日横になってた」 『本当に軽いの? 病院は行った?』 「うん。後、2日もすれば動けると思うんだ」 『そう、それは良かった……札幌なら帰りに寄れるでしょう?』 「そうしたいんだけれど、やる事があるのと、一応、重要参考人なんで事情聴取を受けないといけないんだよ」
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