第4章 『事実』

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『じゃ、真っすぐ東京に戻るのね?』 「うん、そうなると思う……父さんは?」 『まだ帰ってないわよ』 「そう。ありがとう、って言っておいて」 『分かったわ。あっ、高見君のお葬式は?』 「明日だけど……母さん、高見に会った事あったっけ?」 『10数年以上前だけど、あなたが大学2年の時かな、夏休みに一度連れてきたでしょう?』 「そうだったかも……まあ、この件が片付いたら一度田舎帰るよ」 『体には気を付けるのよ。茂とは会ってるの?』 さすがに母親の電話は長い。終わりそうでなかなか終わらない。 「たま~~にね。あいつも忙しいみたいだから……」 『茂は夏休み取れないのかしら?』 「財務省は夏は暇って聞くから取れるんじゃないの?」 『あの子も早く結婚してくれると良いんだけど……』 「…(ヤバッ、世間話モードに突入した。こうなると長い)……母さん、もう切るよ」 『あんたも麻衣子さんと結婚してくれればねぇ……』 「…(出た。過去の話に華を咲かせましょうモード。これに突入されたらおしまいだ)……母さんってば」 『えっ、何?』 「だから、もう切るって……」 『うん、分かった。体に気を付けて。とにかく一度帰ってらっしゃっい……ご飯はちゃんと食べてるの?』 「…(あちゃーーっ、もうダメだあ)」 結局、母親との電話が終了したのは午後9時を回った頃であった。
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