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『じゃ、真っすぐ東京に戻るのね?』
「うん、そうなると思う……父さんは?」
『まだ帰ってないわよ』
「そう。ありがとう、って言っておいて」
『分かったわ。あっ、高見君のお葬式は?』
「明日だけど……母さん、高見に会った事あったっけ?」
『10数年以上前だけど、あなたが大学2年の時かな、夏休みに一度連れてきたでしょう?』
「そうだったかも……まあ、この件が片付いたら一度田舎帰るよ」
『体には気を付けるのよ。茂とは会ってるの?』
さすがに母親の電話は長い。終わりそうでなかなか終わらない。
「たま~~にね。あいつも忙しいみたいだから……」
『茂は夏休み取れないのかしら?』
「財務省は夏は暇って聞くから取れるんじゃないの?」
『あの子も早く結婚してくれると良いんだけど……』
「…(ヤバッ、世間話モードに突入した。こうなると長い)……母さん、もう切るよ」
『あんたも麻衣子さんと結婚してくれればねぇ……』
「…(出た。過去の話に華を咲かせましょうモード。これに突入されたらおしまいだ)……母さんってば」
『えっ、何?』
「だから、もう切るって……」
『うん、分かった。体に気を付けて。とにかく一度帰ってらっしゃっい……ご飯はちゃんと食べてるの?』
「…(あちゃーーっ、もうダメだあ)」
結局、母親との電話が終了したのは午後9時を回った頃であった。
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