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「それでね、そろそろ東京に戻ろうかと思うんだ」
「え~~っ、いつ?」
「明後日…」
「折角仲良くなれたのに」
「でも、狭い日本だから会おうと思えばいつでも会えるよ」
「それもそうよね」
「今度の事、本格的に調べたいし……」
「何を?」
「なぜ俺が襲われて、書類が盗まれたのか? そして、黒部という依頼人の事も……」
「手掛かりはあるの?」
「全くのゼロ。でも、警察や検事にも知り合いはいるから、そっちから当たっていこうかと思っているんだ」
「持つべき物は友。この場合はちょと違う?」
「ははははっ、残念ながらちょと違う……そうそう、沙也加ちゃん、赤いハイヒール持ってるよね?」
卓司の問いに沙也加は少し怪訝(けげん)そうな顔をする。
「赤いハイヒール?……どんなの?」
「この前、靴箱で見たんだけど、踵(かかと)にリボンか蝶が付いているようなやつ……」
「あたしは、そういった種類のハイヒールは持ってないよ」
「えっ、本当 !? 確かにあったと思ったんだけどな」
「それがどうかしたの?」
「ちょっと気になって……」
「タッキー、見間違えたんじゃない?」
「そうかなあ」
「きっとそうだって。それより明日は送別会やろうね。それと後で携番とメルアドも交換してよね」
「うん……(見間違いだったんだろうか、確かにあった筈だが……)」
卓司は困惑を深め、疑心暗鬼に沙也加の顔を眺める。
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