37人が本棚に入れています
本棚に追加
記憶が曖昧でどの出来事が最初だったか不確かだが、確か新宿駅東口から歌舞伎町へ向かうあの人ごみの多い横断歩道で何故か前から早足で歩いてきた男の人に思い切り肩をぶつけられたのだ。
これはハッキリと覚えている。私は肩を斜めにしていたのに、あの男の人は無理やり近づいて私にぶつかってきたのだ。
人に対してあまり怒りを見せない私だが、これにはさすがにムカつき、早速彼氏に電話した。
少しでもこの怒りを抑えたかったし、誰かに聞いて欲しかったのだ。
「ちょっと聞いて!男の人が無理やりぶつかってきたの!避けれたはずなのに!マジありえないんだけど!」
思いを吐き出すように一気に喋った。だが返ってきたのは、
「ていうかさ、何でそれを俺に言うわけ?関係なくね?俺忙しいから電話切るよ」
という返答。この言葉に私は更に怒りが込み上げてきた。ヒモのくせに、ただ私のお金に甘えてるだけのくせに。私の話を聞くことも出来ないなんて、本当に最低!
その時吸っていた煙草を地面に投げつけて、新しい煙草に火をつけた。気持ちを落ち着かせたかった。
どうしてあんな男と付き合っているのだろう? 私の部屋に転がり込んでから半年程、家賃を入れることなく、食費も出さず。ただ、居座っているだけ。
今の私からしたら考えられない関係だった。現在の彼氏は23歳、香港人で英語でしか会話が出来ないというのも疲れるが、人としては立派な男だ。Lは過去に付き合った男の中で、最低ランキング1,2位を争うのではないだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!