37人が本棚に入れています
本棚に追加
Lは遊びと称して肩パンをする。これは男同士でやる遊びだと思うのだが、何故か私とは遊びの一環だと言って楽しんでいた。肩パンとは、その名の通り肩にパンチをし合うこと。恐らくどちらのパンチが強いか競い合うような遊びというか喧嘩というか・・・そんなようなものだと思う。
私は幼い頃から母親からお腹に思い切りパンチをされたり、竹刀で何十回も叩かれたり、手を噛まれたり、髪を引っ掴まれたり・・・
暴力については心底嫌いなのだ。例えば、客に冗談でパンッと軽く叩かれたとしても、私にとっては随分失礼な暴力に当たる。例えその強さが弱かったとしても。
28歳になった今でも、冗談と分かっていても、軽くはたかれると殺意が生まれてしまう。この感情は一生消えないだろう。
だからこそ、Lのことはあり得ない存在なわけだが。当時は大好きだった。
Lが一緒にいてくれるだけでいい、夜の営みを拒否されても、性欲は自分だけで処理しよう。
そんな思いで過ごしていたわけだが、確かL自身が実家の栃木に帰ると言ったと思う。
この時は号泣した。どうして? なんで? こんなに好きなのに・・・!
Lは帰らなきゃいけないから、と言って最後に私をようやく抱いてくれた。この時は嬉しかった。
ようやく好きな人に抱いてもらえる。最後の最後でようやく・・・
私の部屋からすんなりと離れていったL。私は失恋の寂しさを埋めるため、夜な夜なダーツバーに行っては男を探して、部屋に持ち帰っていた。
ただ寂しさを埋めるだけの交わり。余計虚しくなると分かっているのに、止められなかった。
誰かに側にいて欲しかった。
最初のコメントを投稿しよう!